07/10 11:30 OhmyNewsに以下の記事が掲載されています。(以下引用)
グッドウィル・グループで日雇い派遣を展開していた株式会社グッドウィルが7月末をメドに廃業することになった。違法派遣を繰り返していたとして1月に厚生労働省の事業停止処分を受け、業績が大幅ダウンしていたところへ、6月に同社幹部3人が警視庁に逮捕されたことから、廃業を決めた。
法人としてのグッドウィルも罪に問われ、刑が確定すれば労働者派遣法の規定によって派遣業務の認可が取り消されるのは必至。そこで、取り消される前に、自ら廃業を発表したものだ。
6月25日の記者会見では、トップが神妙に頭を下げ、「売り上げ至上主義がこの事態を招いた」などと率直に認めたが、それでもなお、監督官庁である厚労省あたりからは、同社に対する厳しい批判が漏れてくる。
それは、度重なる業務改善命令に従わず、「わかりました」と謝るそばから違法派遣を繰り返していたためだ。厚労省に限らないが、役所にとって最も大切な"面子丸つぶれ"に本気で怒ったようだ。
しかし、見方を変えると、第一義的な責任はグッドウィルにあるとしても、社員4000人、派遣労働者7000人(1日あたり)という巨大な日雇い派遣会社をつぶす方向へ導いたのは、ほかならぬ厚労省だった。
実際、退職を余儀なくされた社員からは「こうした事態になる前に、なぜ厳しく行政指導しなかったのか」と不信感を募らせる人もいた。確かに、違法派遣しても、「データ管理費」といったわけのわからないピンハネ行為にしても、厚労省が知らなかったというのは不自然だ。行政権限を活用した細かい事情聴取を、しようと思えばできたからだ。
その辺を意識してか、今回の廃業を受けた厚労省の対応はかなり素早かった。グッドウィルの廃業発表とほぼ同時に、「グッドウィル雇用対策本部」を設置し、社員や派遣労働者の再就職先探しを支援する体制を整えた。「民間のことは民間で」という建て前の役所にしては珍しい。
もっとも、業界関係者によると、社員については同業他社からすでに500件以上の求人申し込みが来ており、派遣労働者も半数以上が同業他社に登録しているので、目立った混乱はないという。
グッドウィル・グループの訪問介護最大手、コムスンの事業譲渡問題では、譲渡先との交渉があったうえ、サービス利用者の不安も大きかったため、譲渡完了には1年近くかかったが、今回は比較的スムーズに撤退できそうだ。こんなところに日雇い派遣の"メリット"が発揮されるとは......。
日雇い派遣自体が「悪い」わけではない
ただ前にも指摘したが、日雇い派遣については、求職側も求人側も一定の需要がある。なくなると雇用の不安定につながりかねない。それをムリに規制すると、"もぐり日雇い"が出て来る可能性は十分ある。そもそも日雇いは以前は"もぐっていた"のだ。
消費者金融の金利規制でも「闇金融」の問題が指摘されたが、ここでもそれと同じことが言える。少なくとも、グッドウィルの廃業と日雇い派遣の「健全化」は直接には結びつかない。そう考えるべきだ。
[ほんま・としのり] 経済ジャーナリスト。1949年新潟県生まれ。72年一橋大学経済学部卒業後、金融機関勤務を経て1975年毎日新聞社入社。経済部、デジタルメディア編集部、週刊エコノミスト編集部編集委員などを経て2006年3月退職。「月刊商工会」などでコラム執筆中。
*本コラムは隔週木曜に掲載します*
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